難関大学(旧帝大、地方上位大学)を目指すにあたって、大学入学共通テストの目標得点率は
80%以上が必須となります。
初年度の共通テストの結果を分析してみると、面白いことが分かってきました。
それは共通テスト本番で80%以上の得点率を取った人たちと、それ以外の人たちで
『国語』の点数差が大きかった という事実です。
2年目を迎える共通テストは、初年度の難易度を考えると難化が予想されています。
難化する筆頭は『数学』と『国語』でしょう。
ということは・・・国語の対策次第で難関大学に合格するかどうか決まるといっても
過言ではないということです。
今回は、なぜ『国語』の影響が大きくなったのか。
そして、国語はどのような対策をしていけばいいのか。
という点をまとめていきます。
あくまでも共通テストの対策という観点ですので、二次試験で国語が必要な人はさらに深い勉強が必要になることはご理解ください。
なぜ『国語』の影響が大きくなったのか
センター試験から共通テストに変わったことで、思考力・判断力・表現力を必要とする出題が
為されました。
結果として、与えられる資料・表・グラフ・地図・写真・文章が圧倒的に増えました。
■リーディング: 問題量が6ページ増(約1000語増)
■リスニング: 問題量は昨年より10ページ増(配点も増)
■数学Ⅰ・A: 解答時間が増えたことも影響し、問題は16ページ増に
■世界史B: 6ページ増
難解な資料はありませんが、必要な情報を取捨選択し解答を導いてくる過程で
思考力・判断力・表現力を試すような問題が出題されたことで、センター試験より時間を
取られる人が多かったと思います。
こういった変化の中で、読解力・情報処理の能力が大きく問われることになりました。
では『読解力』『情報処理能力』はどうやって鍛えればいいのでしょうか?
その答えは・・・『母国語(日本語)の読み書き能力を上げる』ということです。
これを客観的にみると『国語』できちんと得点できる力がある ということになります。
当たり前ですが、英語以外の科目はすべて日本語で記述され、
その情報を早く正確に読み取る必要があるわけです。
いくら知識がたくさんあっても、読むのが遅くては時間内に解けないわけですから、
高得点を取れるはずがありません。
こういったことから、『国語』できちんと得点を取れる(読解力・情報処理能力が高い)人の
共通テスト結果は合計で見ても高い得点となりました。
『国語』の対策をどう進めていくか
■現代文の対策■
文章の合う・合わないで点数が大きく変動する人が多いので、
現代文は点数ムラの大きい科目と思いがちです。
かと言って、一つの話を丁寧に解釈しても現代文の正しい読み方は身に付きません。
共通テストで高得点を取るためには汎用性のある論理的な読解法を身に付ける必要があります。
ⅰ)読解法の理解・・・対比、言い換え、因果関係などに着目して文章を読み解く
おススメの教材は【入試現代文へのアクセス 基本編(河合出版)】です。
本書の特徴は『本文の解説』と『設問の解説』が分けて書かれていることです。
『本文の解説』とは段落ごとの意味や内容をまとめた上で、対比関係などをビジュアル的にわかりやすく表現してくれています。
加えて、『語句の意味』として各本文中の重要語がまとめられています。
本書の使い方には、もちろん丁寧に説明されていますので、そちらを参考にしてください。
とりあえず、使い方の概要をまとめておきます。
➀まず自力で本文を読んで内容を把握し、設問を解く
➁「語句の意味」で基本語句の意味を押さえる
➂「本文の解説」を読み、自分の読みをチェックする
④「設問の解説」を見ながら解答をチェックする
⑤しばらく時間をおいてから、復習する
⇒ここが特に重要です。「分かる」と「出来る」は違います。
頭で分かったことを、再現することで読解法の理解が深まります。
読解法の理解が深まるから、文章が変わっても同じように考えることができるのです。
復習の目安として3周はやりましょう。で、遅くても高3の夏休み終わりまでが期限です。
ⅱ)過去問を使った演習
共通テストの過去問は1年分しかないので、試行調査の問題やセンター試験の過去問も
活用しましょう。
共通テスト試行調査 ⇒ センター過去問 ⇒ 予想問題 と演習を進めるのがオススメです。
【共通テスト過去問研究 国語(教学社)】はいわゆる赤本です。
《共通テスト》
2021年度 本試験(第1日程)&(第2日程)
第1回 & 第2回 試行調査(第2問~第5問)
《センター試験》
本試験6年分(2015~2020年度)
追試験5年分(2016~2020年度)
これに1回分のオリジナル問題を含む16回の演習が可能です。
過去問の演習をするときに忘れてはいけないポイントがあります。
それは『答え合わせにしっかりと時間を使う』ということです。
正解・不正解だけでなく、正解でも解答プロセスに問題はなかったか。
不正解の場合はどこで解答プロセスを間違えたのか。
そういった部分のチェックに時間を使い、間違いの選択肢が間違いである理由もしっかりと
吸収しましょう。
センター試験の過去問に取り組むときは、共通テストよりも素直な出題となっているので、
80分の試験時間を少し短い70分で取り組んでみましょう。
情報処理能力向上の良い訓練になります。
ちなみに共通テスト対策問題(黒本、青本、緑本)の使い分けは
次のページにまとめています。是非、こちらもチェックしてみてください。
■古文の対策■
古文(漢文も)は知識と点数が直結する科目です。
よく言えば、きちんと対策すれば得点が安定しますし、知識のインプットを避けている限りは
当てずっぽうの域を出ることはありません。
ⅰ)文法の修得
【ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル(河合出版)】がオススメです。
必要な文法事項が網羅されており、暗記だけでなく演習も可能です。
字面を追いかけてもなかなか頭に入らないので、発話を伴う音読学習がオススメです。
ⅱ)単語の修得
【マドンナ古文単語230(学研)】がオススメです。
たった230語。されど230語。
これが頭に入ったときの得点力アップは凄まじいものがあります。
が、なかなか頭に入らないんですよね。
覚えたつもりが抜けるの繰り返し・・・。でも、定着率を上げる方法はいくつかあります。
1:目・手以外に、音読で口と耳まで使って覚える
2:漢字を意識する。現代語の意味から連想できる場合が多々あります。
3:語源を理解する。マドンナ古文単語には語源がしっかりと書いてあります。
これは覚えるというより、『へぇ~』って思うことが大事です。
暗記モノを上手くこなすコツは、1つのものを様々な角度から見てみることです。
※視覚情報、発話、漢字にすることで視覚情報が変化、語源など
ⅲ)過去問を使った演習
これは現代文と同じです。国語というくくりで演習していきましょう。
■漢文の対策■
ⅰ)句法・漢字の意味読みを暗記する
【漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版(学研)】がオススメです。
漢字の読み・意味・漢詩のきまり・文学史・思想史といった漢文知識もしっかりと押さえることができます。さらにセンターの心得と、過去問5題が載っています。
この1冊で句法、知識、読解法とすべてクリアすることが可能です。
↑↑【漢文早覚え速答法(学研)】↑↑も良書ですが、漢文ヤマのヤマの方が基礎の基礎から
句法の解説がされているので抜け漏れなく勉強できます。
ⅲ)過去問を使った演習
これも古文と同様に現代文と同じです。国語というくくりで演習していきましょう。
まとめ
『読解力』・『情報処理能力』が問われる共通テストにおいて、
ここを意識的に鍛えることが高得点への近道と言えます。
国語・・・特に現代文は「日本語だからなんとかなる」と安易に考えている人が多く、
十分な対策をしないままに受験に臨んでしまっています。
ですが、きちんと対策を立てて、必要な勉強をすれば『読解力』・『情報処理能力』は
メキメキと付いてきます。
結果、国語だけでなく全科目にプラスの影響を与え、志望大学合格が近づきます。
もっと言えば『母国語の読み書き能力を上げる』ということは、
大学での学びの土台になることは自明です。
専門書を読む、レポート書く、論文を書く・・・。様々な場面で母語を扱う能力が問われます。
大学受験という機会でしっかりとその能力を向上させることで、
充実した大学生としての生活を送ることができます。
志望大学合格という目標だけでなく、その先まで見越して国語の学習を進めてください。
後回しにする人が多いですが、少しずつでもコツコツ続ける方が賢明です(特に現代文は)
以上、お読みいただきありがとうございました。
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